スポーツや事故で歯を失った場合の治療法とインプラントの選択肢
皆さんこんにちは 香川県丸亀市にある大西歯科医院です。
歯は私生活を送るときやスポーツをするときに、とても大事な役割を担っています。
人は力を入れるタイミングや瞬発的な能力を発揮するときに、無意識のうちに食いしばっています。逆に、歯を強く噛みしめられないと、力が入らないとも言われているくらいです。
学校の部活などのスポーツをしていて、事故で歯やお口を怪我したり、歯を失ってしまうケースがあります。激しくぶつかって歯が欠ける・折れる・抜けるなどの怪我により、いきなり歯を失ってしまうとショックが大きいですよね。
私生活の中でもスポーツの中でも、知らず知らずのうちに大事な場面で歯を使っています。
そんな大切な歯が折れてしまったら、どんな治療法があるのでしょうか?
また、今後も歯を守って行く上で注意することはあるのか?気になりますよね。
そこで本記事では、歯が折れてしまった時の治療法や、歯が残せなかった場合などに合わせた治療方法を詳しく解説していきます。
スポーツをしていて、不慮の事故で、「歯が折れて治療法に悩んでいる」「今後も歯を守りたい」と思っている方は是非参考にして下さい。
スポーツや事故で歯やお口を怪我した場合はどうしたらいいの?
スポーツや事故で不幸にも歯にひびが入った・欠けた・折れた・お口に傷を負った場合は、迅速かつ適切な応急処置が必要です。出血が多い場合や多数の歯が折れた・抜けた場合は救急車を呼び口腔外科に搬送する必要があります。
出血が少なく1〜2本の歯が折れた場合は、歯を保存液か牛乳に浸して歯科医院に連絡し、早めに受診する必要があります。お口の中でスポーツや事故による怪我を一番しやすいのは上顎の前歯で、前歯の部分を打撲したり、歯が折れてしまったり、ぐらついたり、抜けてしまうこともあります。
前歯は周囲の人から見えて目立つ部分であるため、ご本人もご両親も早く治療したいとの思いがとても強いでしょう。患者様の歯やお口の状態によりますが、歯を失った部分はインプラントなどの治療方法で歯を補うことができます。
歯が抜けた場合
抜けた歯を見つけたら、歯を軽く水道水で洗います。この時に根元には触れずに持ち、強くこすらないように汚れを落とします。洗った歯は、牛乳や歯牙保存液に浸けて、乾燥しないように保存します。それらがなければ、湿った布などで包んで乾燥を防ぎましょう。
抜け落ちた歯を牛乳に浸けるのは、歯の根っこについている「歯根膜」という組織を乾燥から守るためです。歯根膜は、歯を元の位置に戻す(再植)際に重要な役割を果たすため、牛乳に浸けることで、歯根膜の細胞を生きた状態に保ち、再植の成功率を高めることができるとされています。
※抜けた歯は乾燥に弱いので、再植をお考えの方は乾燥しないように注意して下さい※
歯が抜けたあとは、できるだけ早く歯科医院を受診することが重要です。「再植」といって、抜けた歯を元に戻すことができる場合があります。抜けた歯の状態が良ければ、再植できる可能性があります。再植をする場合、抜けてからの時間が短いほど成功率は高くなります。
口の中の切り傷や出血がある場合
切り傷や出血がある場合は、清潔なガーゼやタオルで傷口を圧接し、止血します。出血が止まらない場合や、傷が深い場合はすぐに医師の診察を受けることが必要です。
折れた歯の保管方法
歯が欠けたり折れた場合、その欠片を水で軽く洗い、可能であれば保存して歯医者に持って行きます。歯の破片を再接着することができる場合があります。
歯にひびが入った場合
歯冠部にひびが入っているが欠けてはいない場合は、「不完全破折」と呼びます。痛みがない場合はそのまま経過観察します。痛みがある場合は、歯を削って神経を取る治療をし、被せ物を被せる治療を行います。
歯が欠けた場合
歯が欠けた場合を「完全破折」と呼びます。歯が欠けても歯髄に到達していない場合は、歯を少し削って形を整え、レジン(歯科用プラスチック)を直接詰めたり、ダイレクトボンディングといってレジンで歯を継ぎ足すように成形する方法で歯を修復出来ます。
歯が割れた部分が歯髄に到達している場合は、歯を削って神経を取り、その後被せ物を作製して被せる処置が必要です。
歯の根が欠けた・折れた場合
歯の根が欠けたり折れたりした場合は、抜歯になる可能性があります。
抜歯後はブリッジ・入れ歯・インプラントの中から治療方法を選んで治療を行います。
歯茎を強く打ち脱臼している場合
脱臼の程度によっては、歯の治療の前に顎骨や歯の周囲の組織の治療を先に行う必要があります。出血が多い場合もあるため、速やかに口腔外科で検査・治療を行います。
歯を失った場合の治療方法について
スポーツや事故で歯を失った場合の主な治療法は、「インプラント・ブリッジ・入れ歯」の3種類があります。それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあり、患者様の状態や希望に合わせて選択することができます。
下記でメリットデメリットを解説していきますので、治療方法の選択で迷われている方は参考にしてください。
【インプラント】
歯を失った部分の顎の骨にインプラントというチタンでできた土台(人工の歯根)を埋め込み、骨を固定させてから、その上にセラミックなどの人工歯を被せる治療方法です。歯を失った部分の骨が不足している場合は、骨造成などの処置が必要になる場合があります。天然歯に近い噛み心地と見た目を再現できます。
メリット
- 隣の歯を削る必要がない
- 自分の歯と同じようにしっかり噛める
- 他の歯に負担をかけない
- 激しい運動中でもズレる心配がない
- 見た目が美しい(天然歯との見分けが付きにくい)
デメリット
- 外科手術が必要になる
- 治療期間が比較的長くかかる
- 費用が高額になる傾向がある
【ブリッジ】
歯を失った部分の両隣の歯を削り、そこに橋をかけるように人工の歯を装着する方法です。
ブリッジの特性上、一番奥の歯にはブリッジを付けることができません。
メリット
- 比較的短期間で治療が終わる
- 保険適用で治療できる場合がある
- 入れ歯よりも自然な噛み心地
デメリット
- 両隣の健康な歯を大幅に削る必要がある
- 両隣の歯に負担がかかる(削った歯は弱くなり寿命が短くなる)
- 失った歯の本数や場所によって適さない
【入れ歯】
プラスチックの材料で歯と歯茎を再現して、歯がないところにはめ込む治療方法です。
メリット
- 手術の必要がなく短期間でできる
- 保険適用で安価に治療できる
- 取り外しが可能で手入れがしやすい
デメリット
- 異物感がある
- 噛む力が弱くなる
- 見た目が気になる場合がある
おすすめの治療方法
歯を失った部分を補う治療法としては、インプラント治療が有効です。一度、抜けた歯・削った歯は元には戻りません。また、歯は削ることで弱くなり寿命も短くなっていくので、なるべく歯に負担はかけたくありません。
その点インプラント治療は、歯を失ったところに人工歯根を埋め込む治療法のため、他の歯を傷つけることもありません。さらに、見た目の美しさも特徴的です。
インプラント治療は自費治療になります。治療費は少し高額になってしまいますが、高額な分、被せ物を作るときの微調整が可能になります。見た目で何が大事かというと、形と色です。保険が効く治療では、一般的な色に統一されています。
しかし、自費治療ではその制限がないので、微妙な歯の色までを再現することができます。そのため、インプラントとわからないほどの自然な仕上がりになるのです。歯を1本でも失うと、口の機能のバランスが崩れていきます。今まで噛めていた物が、工夫しないと噛めないという状態はよく耳にします。
例えば、入れ歯は歯ぐきに当たって痛みや傷ができてしまい、不快に感じることも。痛みがでるたびに歯科医院に調整しに行く手間もかかってきます。しかし、インプラントは外科手術が必要なものの、被せ物まで入ってしまえば、自分の歯と同じように噛めるので、今までと同じ生活を送ることが可能です。
スポーツ中の怪我を防ぐための対策
スポーツ中の怪我を防ぐための対策として、下記の取り組みがあります。
【スポーツ用マウスガード】
ラグビーやボクシングなどの試合でマウスピースをしている選手を見たことがありますか?
マウスピースはスポーツをする時に使用することで、歯や顎の骨を守り、歯を失うリスクを軽減してくれます。
競技のパフォーマンスを上げる効果があるといわれていますので、最近ではプロのスポーツ選手も装着している姿をテレビでもよく見かけるようになりました。
【ヘルメットやフェイスガード】
ラグビーや野球などの競技では、頭や顔を守るための防具を適切に使用することが大切です。これにより、歯や口、顎への直接的な衝撃を避けることができます。
スポーツマウスガードのメリット
- 口の衝撃を緩和してスポーツによる怪我から守ることができる
- 下の顎に強い衝撃が加わると起こりやすい脳しんとうの予防ができる
- 歯の負担が軽減ができる
- しっかりとかみしめることで力を発揮でき、パフォーマンスの向上につながる。
- 顎の骨へのダメージを緩衝する
このようにスポーツマウスガードは選手の安全を守り、パフォーマンスも高めてくれます。
事故やスポーツで多くの歯を失った場合のインプラント治療は保険適用できるの?
インプラント治療は基本的には健康保険適応外の治療なのですが、いくつかの厳しい条件をクリアしていれば保険が適応できることもあります。条件としては、顎の骨を3分の1以上失っている場合で、施設の病床数が20床以上完備していることなど限られた条件となっています。
それとは別に、交通事故で歯を失った場合には、インプラントが医学的に必要と判断された場合に民間保険や労災などの対象になる事もあります。ただ、状況によって保険適応になる場合と保険適応にならない場合もあり、残念ながら全額補償にならないケースもあるようです。
交通事故による補償も認められるケースも多いようなので、詳しい内容については一度医療機関や保険会社に相談して確認する必要があります。
まとめ
結論から言いますと、歯を失った方にはインプラント治療がおすすめです。冒頭でもお伝えしたように、スポーツをする上でも日常生活を送る上でも噛む力は非常に大事です。食いしばれるかどうかで勝敗が決まると言っても過言ではありません。
ここまで、3つの治療法を紹介してきましたが、これからも積極的にスポーツを続ける場合には、耐久性や長期的な安定を考えるとインプラントが適切です。スポーツを楽しむために、適切な治療を受けながら、歯を守っていきましょう。
スポーツや事故等で歯を失ってしまい、お困りの際は一度お気軽にご相談ください。
患者様一人ひとりの症状にあった治療方法をご提供いたします。

