親知らずの抜歯とインプラント、関係ある?

こんにちは。香川県丸亀市にある大西歯科医院です。

親知らずの抜歯とインプラントは、それぞれ異なる治療方法で一見関係ないように思えますが、場合によっては関連する可能性があります。

親知らずが生えている方がインプラント治療を受ける際、口腔状態や親知らずの状態によって、インプラント治療に影響を与える場合があります。その様な時は、親知らずの抜歯をしなければなりません。

また、近年では親知らずをインプラントの代わりに使用するケースもあります。

そこでこの記事では、親知らずとインプラントの関係についてインプラント治療を専門的に行う香川県丸亀市の大西歯科医院、院長の大西が詳しく解説します。

親知らずの抱える問題

親知らず(智歯)は、永久歯の中で最も最後に生えてくる第3大臼歯です。多くの場合、10代後半から20代にかけて萌出しますが、親知らずはもともと抜歯する必要のない歯です。

食の変化などによって現代人は昔の人と比べると顎が退化し小さくなっています。歯が生える本数に大きな違いはないため、永久歯のなかでも最後に生えてくる親知らずが生えるスペースがなくなり、斜め方向に生えたり別の場所から生えたりしてしまうのです。

顎の退化と親知らずの位置異常

その背景にあるのは、現代人の「食生活の変化」です。かつての人類は、肉や根菜など硬い食べ物を多く摂取していたため、顎の骨が発達し、歯列のスペースにもゆとりがありました。

しかし、近代以降は柔らかい加工食品や精製された炭水化物の摂取が増え、顎の骨が小さくなる傾向が見られるようになりました。この「顎の退化」は、歯の本数には影響を与えません。

そのため、永久歯は従来通り28~32本生えてきますが、顎が小さくなったことで最後に生える親知らずの居場所がなくなり、正常に生えることが難しくなっているのです。

結果として、親知らずは斜めに傾いて生えてきたり(水平埋伏)、横向きに隣の歯に食い込むような形で生えてきたり、まれに本来の位置から離れた方向に向かって異常萌出するケースも見られます。

これにより、歯並びの乱れや、周囲の歯への悪影響が生じるリスクが高まるのです。

親知らずの種類とそのリスク

親知らずにはいくつかのタイプがありますが、特に問題となるのが以下の2つです。

半埋伏歯(はんまいふくし)

歯冠の一部だけが歯ぐきから顔を出している状態です。一部が見えていることでブラッシングが難しく、食べかすや細菌が溜まりやすいため、炎症(智歯周囲炎)や虫歯の温床となります。

埋伏歯(まいふくし)

親知らずが完全に歯ぐきや顎の骨の中に埋まったまま生えてこない状態を指します。外からは見えないため気づかれにくいのですが、実は内部で嚢胞(のうほう)を形成したり、隣の歯を圧迫したり、骨を溶かす原因となることもあります。

※埋伏歯はレントゲンやCT検査によって発見されることが多く、インプラント治療前の精密診査の中で初めて存在に気づく患者様も少なくありません。

親知らずが引き起こすトラブル

親知らずがまっすぐ正常な方向に生えてこない場合、さまざまな口腔内のトラブルの引き金となります。現代人の多くは顎のスペースが狭いため、親知らずが真っ直ぐに生えきらないケースが非常に多く、歯科治療において大きな課題となっているのが現状です。

奥に生えて磨きにくい=虫歯・歯周病の温床に

親知らずは、上下の歯列の中でも最も奥に位置する歯です。位置的にブラッシングが非常に難しく、たとえまっすぐ生えていたとしても、磨き残しが生じやすく汚れが溜まりやすい部位といえます。

そのうえ、斜めや横向きに生えてしまった場合には、歯ブラシの毛先が届きにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクが格段に上昇します。実際、多くの親知らずが虫歯や炎症を起こし、繰り返し痛みや腫れを引き起こす「問題歯」となっているケースが多数報告されています。

隣の歯まで蝕む“連鎖反応”

特に注意すべきなのは、親知らずのトラブルが周囲の健康な歯にも影響を及ぼす可能性があるという点です。

例えば、虫歯や歯周病が親知らずに発生した場合、すぐ隣にある第二大臼歯(通常の奥歯)にまで感染が広がりやすくなります。これは、歯と歯の隙間(隣接面)が接近しており、清掃が不十分になることで細菌が広がりやすいためです。

その結果、健康な歯を巻き添えにして抜歯が必要になるケースも少なくありません。特にインプラント治療を控えている場合、このような感染は治療の妨げになり、予定していた治療計画に大きな影響を与える可能性があります。

歯並びの乱れ・噛み合わせの悪化

さらに問題となるのが、横向きや斜め方向に生えてくる親知らずが、周囲の歯を物理的に押してしまうという現象です。

歯は本来、顎の骨の中で一定のスペースを保ちながら並んでいますが、そこに斜めに生えた親知らずが無理に割り込もうとすると、手前の歯が前方へ押され、歯列全体のバランスが崩れてしまうのです。

このような圧迫によって起こる歯の移動や傾きは、前歯の重なりや、咬み合わせのズレを引き起こす原因にもなります。場合によっては、矯正治療が必要になるほどの歯並びの乱れを招くこともあり、インプラントを埋入した後の歯列の安定性にも悪影響を与えかねません。

インプラント治療との関連

インプラント治療は、歯ぐきや顎の骨の健康状態が成功のカギを握っています。そのため、虫歯や歯周病、噛み合わせの乱れといった親知らず由来のトラブルがあると、インプラントの埋入位置の精度や長期的な定着に支障をきたすことになります。

また、親知らずの炎症が慢性化している場合、周囲の骨にまで感染が広がり、骨の吸収や破壊が起こることもあります。このような状態では、インプラントを埋入するための骨量が不足してしまい、骨造成(骨の再建)という追加手術が必要になる可能性もあるのです。

なぜインプラント治療で親知らずを抜くのか?

インプラント治療は、天然の歯のように噛める状態を人工的に再現する、非常に精密で繊細な歯科治療のひとつです。その成功のカギは、インプラントを埋入する「周囲の環境」がどれだけ健康かに大きく左右されます。

つまり、たとえ最新のインプラント体を使用しても、周囲の歯や骨、歯茎が不健康であれば、長期的な安定は見込めません。

そのような中で、特に厄介な存在とされているのが「親知らず」です。一見関係ないように思えるかもしれませんが、実はインプラント治療を行う際には、親知らずの存在が大きな障害となることがあるのです。

虫歯や歯周病の温床になる親知らず

親知らずはお口の最も奥に生える歯であり、その位置ゆえに日々のブラッシングが非常に難しく、プラーク(歯垢)や食べカスが溜まりやすい場所でもあります。その結果、親知らずは虫歯や歯周病になりやすく、放置すると炎症を繰り返したり、周囲の健康な歯や骨にまで悪影響を及ぼしたりすることがあります。

インプラントを埋入する予定の部位の近くに親知らずが存在している場合、その親知らずが虫歯や歯周病にかかっていれば、細菌感染のリスクが高まり、インプラントがうまく定着しなかったり、早期に脱落する原因となる可能性があります。

隣接するインプラントに物理的な悪影響を与える

親知らずが斜めや横向きに生えている場合には、インプラント治療そのものに物理的な干渉を及ぼすこともあります。

親知らずが第二大臼歯を押し出す力を加えている場合、その手前にインプラントを埋め込んだとしても、数年後には噛み合わせがズレたり、インプラントに不自然な力がかかって不安定になってしまったりするケースが見られます。

また、インプラントの埋入方向や角度にも制限が生じ、治療の選択肢が狭まる要因にもなります。

このような理由から、治療計画の段階で、将来的に悪影響を及ぼすと判断される親知らずは、早期に抜歯しておくことが推奨されるのです。

インプラントの長期安定には「口腔内の健康」が欠かせない

インプラントを長持ちさせるためには、埋入後も良好な口腔内環境を維持することが絶対条件です。特に歯周病はインプラント周囲炎を引き起こし、顎の骨を溶かしてしまうため、インプラントの脱落や再治療を招く原因になります。

親知らずがあることで炎症や細菌感染のリスクが高まるような状態は、インプラントにとっては非常に危険です。たとえ現在は痛みや症状が出ていなくても、将来的なトラブルの火種になりかねないため、歯科医師は予防的な観点から、親知らずの抜歯を提案することが多いのです。

また、親知らずによって噛み合わせや歯並びが乱れている場合、インプラントの咬合(かみ合わせ)設計にも悪影響を与えるため、咬合のバランスを考慮して親知らずを除去することも少なくありません。

親知らずの抜歯とインプラント手術のタイミング

インプラント治療を検討するうえで、親知らずの存在は無視できない重要な要素です。とくに、親知らずが埋まっている位置やその周囲にインプラントを埋め込む場合、抜歯のタイミングとインプラント手術の計画は密接に関係しており、治療全体の成否を左右するポイントにもなります。

基本的な流れ:抜歯から2~3ヶ月待つのが一般的

通常、親知らずを抜歯した後は、その部分の歯茎や顎の骨がしっかりと回復するのを待ってから、インプラント治療へと進みます。

この待機期間は一般的に2〜3ヶ月程度とされており、患者さんの治癒力や親知らずがあった部位の骨の状態によって若干の個人差があります。

この期間をしっかり確保することで、インプラント体が埋入される部分の骨質や歯肉の状態が安定し、インプラントがより長期的に定着しやすくなるのです。

治療の土台がしっかりしていなければ、せっかくのインプラントも不安定になり、脱落や周囲の炎症などのトラブルを招く恐れがあります。

特に、親知らずを抜いたあとは一時的に骨の量が減少することもあるため、そのリカバリーを待ってからインプラントを行うことは、将来のリスクを抑えるうえでも非常に理にかなったステップと言えるでしょう。

抜歯と同時にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入法」

近年の歯科治療は進化を遂げており、「抜歯即時埋入法」という新しい治療手法が登場しています。これはその名の通り、親知らずを抜歯したその場でインプラントを同時に埋入する方法であり、従来のように数ヶ月待つ必要がありません。

この方法の最大のメリットは、治療期間の短縮と、外科的な処置が一度で済むことです。患者さんにとっても通院回数や身体への負担を減らすことができるため、注目されている治療法のひとつです。

ただし、すべての患者さんにこの方法が適用できるわけではありません。抜歯部位の骨の厚みや高さ、感染の有無、歯肉の状態、全身の健康状態など、さまざまな要素を踏まえ、歯科医師が慎重に判断する必要があります。

親知らずの周囲に炎症や膿がたまっているような状態では即時埋入は難しくなりますし、骨が非常に薄い場合には、事前に骨造成(骨を増やす処置)が必要になることもあります。

タイミングを見極めるには専門的な診断が不可欠

このように、親知らずの抜歯とインプラント手術のタイミングには複数の選択肢があり、それぞれにメリットと注意点があります。重要なのは、患者さんごとの口腔内の状態を正確に把握し、最もリスクが少なく、長期的に安定する方法を選ぶことです。

そのためにも、インプラント治療を検討する際には、親知らずの位置や状態を精密に診断することが第一歩となります。歯科用CTなどの画像診断を活用し、骨の質や量、神経との距離などを詳細に確認したうえで、最適な治療スケジュールを立てていきます。

まとめ:親知らずの抜歯とインプラントは関係ある!

インプラントをするとき、親知らずの有無・状態(生えている場所や方向・虫歯や歯周病ではないか)によって治療内容が変わります。親知らずに異常がなければそのままですが、異常がある場合には抜歯をします。

親知らずは抜いて終わり!と思われている方が多くいらっしゃいますが、「口腔環境・条件」が合えばインプラントの代わりの治療の選択肢として『歯牙移植』を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

どの治療方法が患者さまに適しているかは、お口の中を実際に拝見してみないと正確にはわかりません。気になる場合にはぜひ一度ご相談ください。

神経を取った歯は、寿命が短くなる?

皆さんこんにちは 香川県丸亀市にある大西歯科医院です。

『なぜ神経を取らないといけないの?』
『根管治療ってどんなことをされるの?』
『神経を取った後、歯はどのくらいもつの?』

虫歯が進行してしまったとき、どうしても「神経を取る治療(=根管治療)」が必要になることがあります。痛みがなくなる一方で、「本当にこれでよかったのかな…?」と不安になる方も少なくありません。

実は、神経を取った歯には、知らないと損をする大きなリスクも潜んでいるのです。

でも、ご安心ください。正しい知識とケアで、歯の寿命をグッと延ばすことは十分に可能です。

この記事では、そんな不安を持つあなたに向けて、次のような疑問を分かりやすく解説していきます。

進行した虫歯の神経を取る理由

私たちの歯の内側には、「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経と血管が集まった組織があります。虫歯が浅い段階では、削って詰め物をするだけで済みますが、虫歯が深く進行し歯髄にまで達すると、激しい痛みや腫れを引き起こすことがあります。

こうなると、神経を取る「根管治療(こんかんちりょう)」を行わなければなりません。なぜなら、炎症を起こした神経をそのまま放置すると、根の先に膿が溜まり、歯ぐきの腫れや顔全体の腫れ、発熱などを引き起こす危険があるからです。

つまり、神経を取るのは「歯を残すための最終手段」であり、「抜歯を避けるための治療」なのです。

根管治療って、どんなことをするの?

根管治療とは、感染した歯髄(神経)を取り除き、根の中(根管)をきれいに洗浄・消毒したうえで、すき間ができないよう薬剤で密封する処置のことです。とても繊細な作業で、1回では終わらないことも多く、数回にわたって治療が行われることもあります。

根管治療の流れ

根管治療の流れは、下記の順番で行っていきます。

虫歯を除去し、神経を取り除く

虫歯によって汚染された歯の部分をしっかり削り取ります。この時点で、すでに歯の神経(歯髄)が炎症や感染を起こしている場合には、その神経も取り除く必要があります。

専用の細くて精密な器具を使いながら、根の中に入り込んでいる神経や細菌を少しずつ丁寧に除去していきます。これは、痛みの原因を取り除く最も重要なステップでもあり、歯を残すための第一歩です。

根の中を洗浄・消毒する

神経を取り除いた後は、根の中(根管)の中をきれいに洗浄して消毒します。根管はとても細く、奥まで複雑な形状をしているため、専用の薬剤や器具を使って隅々まで殺菌することが大切です。

洗浄が不十分だと、後から再感染を起こして痛みや腫れが再発するリスクもあるため、時間をかけてしっかり行います。場合によっては、何回かに分けて消毒を行うこともあります。

根の中に薬剤を詰めて密封する

消毒が完了したら、空洞になった根管の中にゴムのような素材や、専用の充填材を隙間なく詰めて密封します。これにより、外部から細菌が侵入するのを防ぎ、再感染のリスクを大きく減らします。

ここでの密封処置が甘いと、数年後に痛みがぶり返すこともあるため、精密な作業が求められる非常に大事な工程です。

土台と被せ物で補強する

根管治療を終えた歯は、すでに虫歯で削られ、さらに神経も失っているため、非常に脆くなっています。そのままでは割れたり欠けたりする可能性が高いため、内部に「土台」を作って補強し、その上に「被せ物」を装着します。

土台には金属やプラスチックなどの素材が使われ、歯の状態や噛み合わせに応じて選ばれます。被せ物を装着することで、見た目も自然に近づき、日常生活で問題なく噛めるようになります。

神経を取った歯のデメリット

「痛みがなくなったから、もう大丈夫」そんなふうに思っていませんか?

神経を取る治療(根管治療)は、たしかに強い痛みや炎症から解放される有効な手段です。しかし、その後にこそ気をつけていただきたい2つの大きなリスクがあります。

歯がもろくなり、割れるリスクが高まる

神経を取った歯は「栄養の供給路」を断たれた状態になります。健康な歯は、神経と血管を通して歯の内側からも水分や栄養が運ばれ、しなやかな強さを保っています。ところが、神経を除去するとこの血流がなくなり、歯の内側が“枯れ木”のような状態になってしまいます。

その結果、もろくて乾燥した歯になり、硬いものを噛んだときや強い力が加わったときに割れてしまうことがあります。これは歯の根っこにヒビが入り、一度起こると元に戻せないダメージとなります。

しかも、歯の根っこが割れてしまうと、どんなにきれいな被せ物をしていても抜歯以外に選択肢がなくなることが多いため、とても厄介なのです。こうしたリスクを軽減するためには、マウスピースの使用や噛み合わせのチェック、そして無理な力がかからないような被せ物の設計が重要になります。

虫歯になっても気づきにくい

神経を取った歯は、「痛みを感じない歯」になります。これが一見すると「ありがたいこと」のように思えるかもしれませんが、実は非常に危険なポイントです。

例えば、被せ物の中や縁の部分に虫歯が再発した場合、本来であればしみたり、ズキズキしたりすることで気づくことができます。しかし、神経を取ってしまっているため、たとえ虫歯が進行していてもまったく痛みを感じず、気づかないまま放置されてしまうことが多いのです。

その結果、見た目には問題がないように見えても、中では虫歯がかなり進行していて、気づいたときにはもう被せ物が合わなくなっていたり、歯の内部まで崩壊していたりするというケースも少なくありません。

このような事態を防ぐには、数ヶ月に一度の定期検診でレントゲン撮影や歯周ポケットのチェックを受けることが最も効果的です。また、日々のセルフケアで歯間ブラシやフロスなどを使った丁寧な清掃を心がけることも大切です。

歯の寿命を少しでも延ばすために、今日からできること

神経を取った歯は、生きている歯に比べるとどうしても寿命が短くなる傾向があります。それは、神経と血管による栄養供給がなくなり、歯が乾燥してもろくなるからです。

しかし、ここで大切なのは「寿命が短くなる=すぐダメになる」わけではないということ。

日々の丁寧なケアと、歯科医院での適切なメンテナンスを継続することで、10年・20年と機能を保つことも十分に可能です。

以下では、神経を取った歯を長く健康に保つための具体的なポイントを解説します。

定期的なメンテナンスがカギ

根管治療を終えた歯は、見た目がきれいでも「構造的には非常にもろくなっている」状態です。そのため、治療終了=完了ではなく、そこからがスタートラインだと思ってください。

特に注意したいのは、根の先で再び炎症が起きていないか、被せ物が歯ぐきにしっかりフィットしているかなど。これらはレントゲンや歯周検査をしないと分からないことが多く、自己判断では気づけません。

被せ物の中は虫歯になります

「被せ物をしているから、もう虫歯にならない」と安心していませんか?

実は、被せ物自体は虫歯にならなくても、その内側にある土台や歯の根は再び虫歯になる可能性があるのです。特に、被せ物と歯ぐきの境目には汚れが溜まりやすく、そこから細菌が侵入して、見えないところで虫歯が進行することがあります。

このような“二次虫歯”は発見が遅れやすく、気づいたときには歯の根の奥深くまで侵されてしまっているケースも珍しくありません。

フロスや歯間ブラシを習慣にする

神経を取った歯は、再治療になるとさらに削る量が増えるため、寿命が大きく縮まります。

そのため、「そもそも再発させない」ための毎日のケアがとても重要です。見落としがちなのが、歯と歯の間。ここは歯ブラシでは完全に汚れを取り除くことができません。

特にクラウンの縁や土台との境目には細菌が溜まりやすく、磨き残しが続くと、あっという間に虫歯や歯周病が進行してしまいます。

噛み合わせのチェックも忘れずに

神経を取った歯は、栄養供給が絶たれることで乾燥し、弾力性が失われています。

つまり、噛み合わせの負荷に対して非常に“割れやすい”状態になっているのです。

たとえば、歯ぎしり・食いしばりがある方は、気づかないうちに1本の歯に強い力がかかり続けている可能性があります。神経を取っていると痛みも出ないため、割れて初めて問題に気づくというケースも少なくありません。

まとめ:歯を守るのは「治療後のあなた」

歯の神経を取るというのは、どうしても避けられない場合もあります。しかし、治療が終わっても、それは「歯を守る戦いのスタート地点」に過ぎません。根管治療を受けた歯は一生ものではありませんが、適切なケアとメンテナンス次第で、10年、20年と使い続けることも可能です。

「せっかく残した大切な歯」。これからも守っていけるように、定期検診と毎日の丁寧なケアを欠かさず行っていきましょう。お困りのことがあれば、いつでもお気軽に当院にご相談ください。

インプラントは怖いけど、入れ歯は嫌という方へインプラントオーバーデンチャーという新たな選択肢

皆さんこんにちは 香川県丸亀市にある大西歯科医院です。

今回は、歯を失った方に向けた新しい治療の選択肢である「インプラントオーバーデンチャー(インプラント義歯)」についてご紹介します。

突然ですが、「インプラントオーバーデンチャー」という言葉を耳にしたことはありますか?

近年、インプラント治療の技術が進歩する中で、総入れ歯や部分入れ歯に悩んでいる方にとって非常に有効な選択肢として注目されているのが、この「インプラントオーバーデンチャー」です。

歯を失ってしまうと、「見た目が気になる」「食事を楽しめない」「発音がうまくできない」「自信がなくなって人と話すのが怖い」など、日常生活にさまざまな支障が生じます。従来の治療法には、「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」などがありますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、患者さまのお口の状態や生活スタイルによって最適な治療は異なります。

例えば、ブリッジは周囲の健康な歯を削らなければならず、将来的にその歯の寿命を縮めてしまうこともあります。入れ歯は「年配の方向け」「外れやすい」などのイメージが先行し、若い方を中心に抵抗感を持つ方も多いのが現実です。

一方で、インプラントはしっかり噛めるという大きなメリットがある反面、「費用が高い」「外科手術が怖い」「治療期間が長い」などの不安要素もあります。こうした従来の治療法の“いいとこ取り”をしたのが、インプラントオーバーデンチャーです。

「入れ歯は合わないけれど、インプラントを全部に入れるのは現実的じゃない…」そんな方にこそおすすめできる身体的・経済的にもバランスの取れた治療法として注目されています。

この記事では、インプラントオーバーデンチャーについてわかりやすく丁寧に解説していきます。

これから治療を検討している方、入れ歯が合わずにお悩みの方、ご家族のために情報を集めている方も、ぜひ最後までご覧いただき、今後の選択の参考になさってください。

インプラントオーバーデンチャーとは?

一般的にインプラントと聞くと、「1本ずつ歯を再建していく治療法」というイメージを持たれる方が多いと思います。確かに、多くの患者さまが1本~数本単位での治療を希望されており、それも間違いではありません。

しかし実は、総入れ歯のような形をインプラントで支える治療方法も存在します。残存歯やインプラントの上に装着する取り外し可能な入れ歯です。

入れ歯が粘膜で噛む力を支えているのに対し、インプラントオーバーデンチャーは、自分の歯やインプラントが支えとなります。全体の安定性が高く、噛む力も高いのが特徴です。『なかなか入れ歯が安定しない』と、お悩みの方に最適の方法です。

この治療法は、顎の骨に2~6本のインプラントを埋入し、その上にアタッチメント(インプラントと入れ歯を連結するパーツのこと)を使って入れ歯を取り付けることで、安定性を高め、入れ歯のズレや外れを防止することができます。

オーバーデンチャーは従来の入れ歯と同じように、患者様ご自身で自由に入れ歯を取り外しできるため、お手入れがとても簡単で使いやすいという利点があります。

そして、固定式のインプラントと比べインプラントの本数が少ないので安価となり、総額を抑えることが可能なため経済的にも優れたインプラント術式となります。

なお、このインプラントオーバーデンチャーには、インプラントと入れ歯の結合をバーで行うもの、ボールの形をした結合部を持つもの、磁石を使用したものなどがあります。

どれを用いるかは、お口の状態を確かめてから担当医と相談しながら決めていきます。

インプラントオーバーデンチャーのメリット

インプラントオーバーデンチャーのメリットは、主に以下の4つです。

  • 噛みやすさが向上
  • 違和感が少ない
  • 取り外しが自由でメンテナンスしやすい
  • 顎の骨が少ない場合でも適用できる

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

噛みやすさが向上

インプラントオーバーデンチャーは、残っている自分の歯やインプラントを支えにした入れ歯のため、しっかり噛めるようになります。

従来の入れ歯と違ってズレにくく、強い力でものを噛むことができるようになるので、従来の入れ歯では食べにくかった硬いものやくっつくものでも噛めるようになります。

従来の入れ歯の噛む力は自分の歯で噛む力と比べると、3分の1程度といわれています。そのため、『食事を楽しめない』というお悩みを抱えている方は少なくありません。

インプラントオーバーデンチャーにすることで、従来の入れ歯よりも噛む力が強くなり、しっかり噛めるようになるので毎日の食事も楽しんでいただけるはずです。

違和感が少ない

インプラントで固定されるため、入れ歯の安定感が高く、歯ぐきが擦れて痛んだり外れたりするような違和感が出にくいです。

また、上の総入れ歯の場合、歯茎を覆う部分を少なくして入れ歯を製作できるので、使い心地がよくなります。

取り外しが自由でメンテナンスしやすい

インプラントオーバーデンチャーは自分で取り外すことが可能なので、比較的お手入れが簡単に行えます。

顎の骨が少ない場合でも適用できる

一般的なインプラントの場合、顎の骨が少ないと治療が受けられないことがありますが、インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨が少なくても治療が受けられるため、幅広い方が治療を受けることができます。

インプラントオーバーデンチャーのデメリット

インプラントオーバーデンチャーのデメリットは、主に以下の5つです。

  • 入れ歯が消耗しやすい
  • 虫歯のリスクがある
  • 治療できない場合がある
  • 取り外して清掃が必要
  • 治療期間が長い

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

入れ歯が消耗しやすい

固定源がインプラントになることで入れ歯がずれにくくなり、しっかり噛めるようになるため、入れ歯がすり減ったり割れたりしやすくなります。

虫歯のリスクがある

インプラントや残存歯にインプラントオーバーデンチャーを被せるため、残存歯に汚れが溜まりやすくなります。そのため、虫歯のリスクが高まります。

また、インプラントは虫歯になりませんが、インプラント周囲炎のリスクはあります。

治療できない場合がある

顎の骨の状況や健康状態によっては、インプラントオーバーデンチャーが適さない場合もあります。

治療の適応について、医師に相談し自身の健康状態や状況に合わせて、最適な治療法を選択することが大事です。

取り外して清掃が必要

従来の入れ歯と同じように、取り外して洗浄する必要があります。手間がかかりますが、インプラントオーバーデンチャーを維持していくために欠かさず行いましょう。

治療期間が長い

通常のインプラント治療と同様に、インプラントを埋入してから定着するまで、一定の期間が必要となります。

インプラントオーバーデンチャーにもご自身の歯と同じように定期的な歯科検診、適切な口腔ケア、歯科医師との連携が重要です。

インプラント2本+義歯で費用負担を軽減できるインプラントオーバーデンチャー

インプラント治療と聞くと、「高額な費用がかかるのでは?」と心配される方も多いのではないでしょうか。確かに、従来のインプラント治療では失った歯の本数と同じだけのインプラントを埋める必要があるため、治療費は本数に比例して高くなってしまいます。

たとえば、上顎の歯をすべて失ってしまった場合、通常のインプラント治療では7〜8本ものインプラントが必要になるケースもあります。

このような場合、治療費だけでなく外科手術の回数や身体への負担も大きくなり、「本当はインプラントにしたいけど、現実的に難しい…」と悩まれる方も少なくありません。

そこでおすすめなのが、「インプラントオーバーデンチャー」という選択肢です。この治療法では、すべての歯を補う場合でも、上顎で4〜6本、下顎で2本から治療が可能となります。

つまり、従来のインプラントよりも圧倒的に少ない本数で済むため、治療費を大幅に抑えることができるのです。インプラント治療では、基本的には失った歯の本数と同等のインプラント本数が必要になります。

インプラントの本数を減らしても、しっかり噛める!

「インプラントの本数が少ないと、噛みにくいのでは?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。 インプラントオーバーデンチャーでは、埋め込まれたインプラントが入れ歯の“固定源”となり、しっかりと支えてくれます。


これにより、入れ歯のズレやぐらつきを抑え、安定した噛み心地を実現できます。従来の総入れ歯のように、食事中に外れてしまう、会話中に動いて気になる、といったお悩みからも解放される方が多くいらっしゃいます。

経済的にも、身体的にもやさしい治療法

インプラントの本数を抑えることで、治療にかかる費用を軽減できるのはもちろんのこと、手術の回数や施術時間も少なく済むため、身体への負担も抑えることができるのがこの治療法の大きな魅力です。

とくに高齢の方や全身疾患をお持ちの方など、「できるだけ負担を少なくしたい」と考えている方にとって、インプラントオーバーデンチャーは現実的で負担の少ない選択肢として、今とても注目されています。

また、インプラントオーバーデンチャーは、「インプラントは高額で無理だと思っていた」という方にとって、もう一度インプラント治療を前向きに検討できるきっかけにもなります。

 「もっと快適に食事や会話を楽しみたい」「今の入れ歯が合わない」とお悩みの方には、ぜひ一度ご相談いただきたい治療法です。

インプラントと入れ歯の“いいとこ取り”──インプラントオーバーデンチャーという新たな選択肢

インプラントの安定性と入れ歯の手軽さを兼ね備えた、非常に優れた治療方法ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

従来のインプラント治療よりも少ない本数のインプラントで対応可能なため、身体的・経済的な負担を抑えつつ、より快適な噛み心地や話しやすさを実現できるのが大きな特徴です。

総入れ歯を使用されている方の多くが、「食事中に入れ歯がズレて噛みにくい」「会話をしているときにカタついてしまう」といった悩みを抱えています。こうした問題の原因は、入れ歯が歯ぐき(粘膜)の上に乗っているだけで、しっかりと固定されていないからです。

一方でインプラントオーバーデンチャーは、インプラントや残っている歯を“固定源”として活用し、その上に入れ歯をしっかりと安定させる構造になっています。これにより、話しても、食べても、しっかりとフィットする快適な装着感を実現。ストレスの少ない日常生活を取り戻すことができます。

「インプラントは魅力的だけど、費用や手術が心配…」という方も少なくありません。この治療法だと、インプラントの本数が少ない分、治療費も大幅に抑えることが可能です。

「インプラントは高いから無理だと思っていたけど、これならできるかもしれない」と、多くの患者様から前向きなお声をいただいています。

まとめ:香川県丸亀市でインプラント治療をお考えの方は大西歯科院までご相談ください

歯科治療の方法は決して一つではありません。

当院では、インプラントオーバーデンチャー、通常のインプラント治療、従来型の入れ歯など、複数の選択肢をご用意し、患者様一人ひとりに合った治療プランを丁寧にご提案しています。

「入れ歯にするか、インプラントにするか迷っている」

「将来的に快適に使える方法を選びたい」

「費用も気になるけど、機能性も重視したい」

そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひインプラントオーバーデンチャーという選択肢も視野に入れてみてください。

カウンセリングでは、口腔内の状態をしっかりと診断したうえで、治療の必要性、メリット・デメリットを丁寧にご説明いたします。

インプラント治療をお考えの方は、ぜひお気軽に大西歯科医院までご相談ください。