小児歯科・小児矯正
小児歯科とは?
小児歯科では、新生児から中学生くらいまでの方に対して治療や予防歯科を行います。
一般歯科と基本的には同じですが、小児歯科は特に虫歯の予防を重視しています。お子さまの成長につれて、乳歯から永久歯に生え替わりがありますが、その際に健康な永久歯が正しい位置に生えるように診療していきます。
小さい頃からの予防歯科が、大人になってからのお口の健康に繋がるのです。
乳歯と永久歯の関係
お子さまの歯にはこれからの成長に欠かせない役割がたくさんあることをご存じでしょうか。
子どもの時期に生えてくる乳歯は、12歳頃にはほとんどなくなり、永久歯へと生え変わっていきます。乳歯のことを「いずれ永久歯へと生え変わるからむし歯になっても仕方ない・・・」と考えていませんか?
乳歯は、健康な永久歯になれるように準備してくれる大切な歯です。乳歯の時期から大切な働きを守っていく必要があります。
乳歯の大切な働き
よく噛むこと
お口の周りにはたくさんの神経が集まっていて、噛むことで脳を刺激し、発達を促す作用が働くと言われています。しっかり咀嚼が出来れば、お口の中のだ液の量が増えて、食べ物の消化や吸収も良くなり、細菌や口臭などを予防してくれる効果も期待できます。また、小さいときから食事することの楽しみを経験しておくことで、こころの成長にもプラスの働きをしてくれます。
話すこと
前歯が1本なかったら、発音にどのような影響が出ると思いますか?前歯がないことで、サ行が正しく発音することがむずかしくなります。それでも、無理に発音しようとすると変な癖がついてしまったり、発音が上手くできなかったりする恐れがあります。乳歯のときから歯をキレイに生えそろえることも成長後にきちんと発音できるかを担う重要な役割です。
正しく生え変わらせること
乳歯の下から生えてくる永久歯は、日々成長し続けています。永久歯が正しく生えてくるように顎の骨までも少しずつ変化していきます。永久歯がだんだん大きくなってくると、乳歯の根っこは少しずつ短くなり、永久歯を正しく生えてくるように導いていきます。
健康な永久歯にするためには、乳歯がキレイに正しく生えていることが大切なのです。
当院で行う小児歯科治療とは?
シーラント
シーラントは、正確にはフィッシャーシーラントと呼ばれ、もっとも虫歯になりやすい奥歯の溝の部分を専用の歯科材料で埋める処置です。奥歯は歯ブラシが当たりにくく、食べかすや細菌が溜まりやすい場所です。
そこで、溝をあらかじめ埋めてしまうことで虫歯を防ごうとする予防法の1つ。歯を削ることもないため、歯にかかる負担も少なくすみます。
乳歯だけでなく、永久歯にも適用され、奥歯以外には、永久歯の上の前歯の裏側にある深い孔や乳歯によくある癒合歯の境目部分の虫歯予防にも有効です。
健康な歯だけでなく、ごく初期に虫歯に対しても応用されています。
乳歯の奥歯が生えてくる時期:3~4歳頃
奥歯の永久歯が生えてくる時期:5~6歳頃
虫歯になりやすい12歳臼歯が生えてくる時期:12歳頃
が目安となります。
TBI(小児のブラッシング指導)
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TBI(Tooth Brushing Instruction)は歯みがき指導のことを指します。 |
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こんなお悩みはありませんか?
初めて歯が生えてきたけれど、歯みがきはどうするべき何だろう… 仕上げ磨きの仕方が分からない ちゃんと磨けているのか不安 歯みがきを嫌がってしまう… |
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年齢や歯の生えそろい具合によってケアの仕方に違いがあったり、仕上げ磨きの仕方だったりといった事をお伝えしています。
歯みがきは、歯が生え始めるまでは必要ありません。
歯が生え始めて、上下4本生えるまではガーゼで拭いて上げましょう。
5本以上生えたら、小児用の歯ブラシでお母様かお父様が仕上げ磨きを行ってあげてください。
3歳まで虫歯菌の感染を防ぐことができれば、一生虫歯にならない、または虫歯になりにくいお口の環境をつくることができます。
子どもの歯は大人の歯よりもエナメル質が薄いため、虫歯になりやすかったり、虫歯にかかってしまった後の進行が速かったりといった特徴があります。
だからこそ、虫歯になる前の予防が大切なのです。
フッ素塗布
フッ素塗布を始める時期は乳歯の上下4本が生えそろう1歳~1歳半頃です。
もちろん個人差がありますので、上下の前歯が生えそろったら、フッ素塗布を考えてあげましょう。
また、永久歯が生えそろう14~15際頃まで続けることがおすすめです。永久歯といっても、生えたばかりでは、まだまだ未完成で弱い歯です。
さらにこの頃はフッ素塗布の効果が高いため、虫歯になりにくい強い歯にすることができます。
フッ素塗布の所要時間は上の歯と舌の歯でそれぞれ5分ずつ行います。処置後すぐに飲食をしてしまうと、効果が得られにくいため、30分は何もお口に含まないようにしてください。
フッ素塗布の効果
歯質の強化
エナメル質を強くし、酸で溶けにくい歯をつくることができます。
歯の再石灰化
歯にとって大切な成分である「カルシウムとリン酸」が歯に取り込まれ、歯が再び元に戻ろうとする歯の修復を促進します。
虫歯菌の抑制
フッ素イオンには細菌の活動を抑制する作用があります。そのため、虫歯菌が酸をつくるのを減少させます。
フッ素塗布の虫歯予防効果は3~4ヶ月ほど持続します。なので、3~4ヶ月に一回受けていただくと、予防効果をずっと続かせることができます。
乳歯は抜けてしまうものであるし、そんなに慎重にならなくても良いのでは…
とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、乳歯は、永久歯を正しい位置に誘導する、顔や顎の発育を助ける、などといった大事な役目があります。虫歯などで早くに乳歯を抜いてしまうと、これらの役目を果たせず、お子さまの成長に影響を与えてしまう恐れがあるのです。
どうせ生え替わるのだから…と過信せず、予防・治療をすることはお子さまの将来の歯ならび・咬み合わせなど永久歯のために繋がります。
歯並びが悪くなる習慣
小児の予防矯正
お子さまの歯並びや噛み合わせが気になっていませんか? |
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反対咬合をそのままにしているとどんな問題がある?
咀嚼がしにくくなり栄養が取れない
反対咬合を放置しておくと、食べ物を正しく噛み砕くことが難しくなります。正しい咀嚼(そしゃく)ができないと、食べ物を十分にかみ砕けず、消化器官に負担がかかり、栄養の吸収が効率的に行われず、栄養不足や消化不良を引き起こす可能性があるのです。
発音がしにくく会話に悪影響
反対咬合は、発音にも悪影響を及ぼします。特定の音を発音する際に舌や唇の位置が不自然になり、言葉がはっきり発声できないことがあります。これは、学校や日常生活でのコミュニケーションに支障をきたす原因となり、社会的なストレスや自信喪失につながることがあります。
顎関節症になると長期的な問題も
反対咬合を放置すると顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクもあります。顎関節症は顎の痛みや開閉時の音、頭痛、首や肩の凝りなど、さまざまな症状を伴います。
ムーシールド:受け口(反対咬合)の早期治療に
ムーシールドは、受け口(反対咬合)のお子さまが乳歯列期(およそ3?6歳)に使用することで、舌や口周りの筋肉バランスを整え、自然な噛み合わせへと導く効果が期待できます。
ムーシールドで反対咬合をどう治療する?
マウスピースと同じような仕組み
見た目や構造がマウスピースに似た装置です。これを口の中に入れて寝ることで、歯に優しく力をかけ、歯並びを少しずつ整えていきます。この原理は、一般的な歯列矯正と同じで、ゆっくりと継続的に歯や顎を理想的な位置へと導きます。
舌と唇のバランスを整える
反対咬合の原因のひとつは、舌が前に出るクセや唇の筋肉のバランスの乱れです。
ムーシールドは、舌が自然な位置に収まるよう誘導し、口唇の力も左右バランスよく整えてくれます。
このようにして、筋肉の使い方を改善しながら歯列のズレも整えていくのです。
顎の成長をサポート
歯だけでなく顎の正常な成長を助ける目的でも使用されます。特に子どもは成長の途中なので、この時期に正しい方向へ顎を導いてあげることで、自然な噛み合わせの土台をつくることができます。
痛みはほとんどない
ムーシールドは、装着してもほとんど痛みを感じないように設計されています。
子供が快適に装着できるため、長期間の使用も苦になりません。
痛みがないことで、子供が嫌がることなく治療を続けることができ、治療の効果を最大限に引き出すことができます。
取り外しは自由にできる
必要に応じて簡単に装着したり外したりできます。基本的には就寝時に装着しますが、取り外しできることで衛生的に使用することが可能です。子供自身が管理しやすいため、自主的に治療を続ける習慣が身につきやすくなるのです。
ムーシールドの装着時間や使用時のポイント
基本は就寝時に装着する
ムーシールドは、主に就寝時に装着するのが一般的です。夜間に装着することで、舌や唇の圧力を効果的に利用し、歯列矯正を行います。就寝時の装着は、子供の日中の活動を妨げることがなく、生活習慣に負担をかけずに治療を継続できるため、非常に効果的です。
装着期間は1年程度
一般的な治療期間、つまり装着期間は1年程度とされています。この期間内に、反対咬合の改善が期待できることがほとんどです。1年間の継続的な装着によって、ムーシールドが歯列に与える矯正効果がしっかりと現れるはずです。
ただし装着期間中は定期的に歯科医師のチェックを受け、進捗状況を確認しながら治療を進めることが重要で、装着期間中に必要な調整や修正を実施します。
反対咬合が悪化しないような習慣づけ
例えば、舌の位置を正しく保つことや、悪い癖を避けることなどです。舌を上あごに付ける習慣をつけることで、自然な力で歯並びが矯正される助けとなります。頬杖をついたり、指を口に入れたりする悪習慣は、反対咬合を悪化させる原因となるため、これらを避けるよう心がけることが重要です。
拡大床(かくだいしょう):歯が並ぶためのスペースを確保
「歯が並ぶスペースが足りない」「前歯が重なって生えてきた」などの場合には、拡大床という装置を用いることがあります。これは、顎の横幅を少しずつ広げて、歯が並ぶための土台作りを行うための矯正装置です。
拡大床を始めるならいつ?
拡大床による矯正治療は、顎の骨の成長が活発で、永久歯の生え揃っていない時期に始めると効果的です。乳歯と永久歯が混在する5歳頃から治療を開始するのが望ましいでしょう。ただし、永久歯の生え替わりや成長には個人差があるため、お子さまによって拡大床の治療を開始する時期は異なります。
5~13歳のお子さまの矯正治療で拡大床を使用しております。永久歯の生え方や、歯が生えるスペースにお悩みの方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
拡大床を使用できない場合は別の装置にて対応致しますのでご相談ください。
拡大床を使用するメリット
拡大床を使用する最大のメリットは、健康な歯を抜いたり削ったりせずに矯正治療ができる点です。また、装置が目立ちにくく取り外しができるものもあるため、矯正治療のストレスを軽減することができます。
歯を抜かずに矯正できる
矯正治療では歯をきれいに並べるために、歯を抜いたり削ったりすることがあります。健康な歯を抜いたり削ったりすることに抵抗や不安を覚える方は多いでしょう。そのようなときに拡大床を適切に使用することで、健康な歯を残したまま矯正できます。
取り外しができる
矯正治療中、装置に食べ物が挟まったり、装置と接している部分の歯磨きが疎かになったりするのを不快に感じる方は多いです。拡大床には取り外しができるものと取り外しができないものがあります。自分で取り外しができるものであれば、食事や歯磨きをするときのストレスを減らすことができます。
矯正していることに気づかれにくい
拡大床は歯の裏側に装着するため、装着していても目立たず周りの人に気づかれにくいです。また、取り外しができる拡大床の装着時間は基本的に1日8時間以上で、装着時間を守れば外出中は外すこともできます。
拡大床を使用するデメリット
適応できない症例がある
拡大床を使用する目的は歯列を頬側に広げることです。そのため、拡大床だけでは歯並びの細かい乱れまで改善することはできません。拡大床だけで完結できる症例もありますが、ワイヤー矯正やマウスピース矯正と併用する必要があります。
紛失・破損する可能性がある
取り外し可能な拡大床の場合、適切に取り扱わないと紛失・破損する可能性があります。紛失した場合は作り直しが必要になり、追加で費用がかかったり、治療期間が延びたりする可能性があります。そのため、拡大床を取り外したら、専用のケースに保管するなどして、適切に管理する必要があります。










